さつま芋ごはん・サンマ竜田揚げ・小松菜胡麻和え・鶏ごぼう汁・牛乳・ミニクレープ
今日のランチトレーには、メインを張れそうなメニューが多数並んでいる。ランチレポート担当者として、どんな文章を書こうか…と頭を悩ませていると、朝の礼拝で給食委員が報告した内容を思い出した。
「今日のランチは、労作で採れたサツマイモが使われています…。」
眩い輝きを放ついつもの白米と違って、穏やかな色合いを醸し出しているさつま芋ごはん。ごま塩をかける前に、まず素材の味を確かめてみた。
パクリ…モグモグ…。 うん、さつま芋の優しい甘さを、いつもよりふっくらモチモチしたごはんが包み込んでいる、深まりゆく秋を感じさせる絶品だ。隣で食べている生徒たちも、いつもより嬉しそうに微笑んでいる。
そんな表情を見ながら続けて二口、三口と頬張ると、この豊かな風味が砂糖や塩といった調味料の味ではない事に気が付いた。
さつま芋ごはんは、作る際の手間暇が欠かせない。芋を洗って細切れにして…というのだけでなく、この芋そのものを作るために必要な手間と時間が存在する。
新しい出会いの中、気恥ずかしさの残る面々で協力しながら畑に苗を植えた春。
照り付ける日差しの下少し気を抜くと雑草の海になる畑に緑の逞しさを覚えた夏。
そして、植えた時には細かった苗が拳よりも大きな芋に育った姿に驚かされた秋…。
この半年間に注ぎ込まれた様々な手間暇が、このさつま芋ごはんの味をより優しく、より深くさせるのだろう。
深い感謝と共に箸を置いた時、無意識に言葉がこぼれた。
「…御馳走様でした。」
(N・M)